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    思い出の一冊

    2013.10.21 Monday 00:04
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             ミリ子は泣かない (創作子どもの本)

       私は、政治家の二世よろしく、地盤(人脈)と看板(知名度)と鞄(お金!?ウチの場合、本かな?)を引き継いで児童文学と係わっている。母が、35年も前から読書運動に係わっていたからこそ、私のライフワークもあるのだと思う。

       母は、私が、子どもの頃から、誕生日には、その時、私が一番興味をもっている作家の全集をプレゼントしてくれていた。宮沢賢治、芥川龍之介、ヘルマン・ヘッセ、ジャン・コクトー。今も、書棚にずっしりとした背表紙が並んでいる。

       なんだか、そう書くと、親子二代、同じ趣味を持った読書家の歴史のようだが、実のところそうでもない。母と私の読書傾向は全く違う。母は、自分が読んでなくても、私が興味を持っていたら、とりあえず、与えてみる人なのだ。おかげで、私は、誰にも検閲(?)されることのない読書を、自由に楽しめる学生時代をおくっていたように思う。潤沢な物資の提供は、親の期待のあらわだと言われることもあるが、こちらも、そうでもなかった。

       ウチの母は、存外にクールだ。

       与えてもらった後、感想を聞かれたことがないし、本を読んだ、その先に何かを求めている様子もなかった。これは読書に限った話ではなく、余り、こうするべきだと言われたこともないし、逆に、手放しに褒められた記憶もない。

       寺村輝夫さんが、児童研の講演会に来てくださったことがある。

       私が、小学校四年生か五年生のときだったと記憶している。王様シリーズは大好きだったし、ちょうど、同じ年頃のミリ子が大活躍する『ミリ子は負けない』『ミリ子は泣かない』(金の星社 頓田室子・絵 19761978を読んだばかりだったから、とても嬉しかった。

       講演会の内容は覚えていない。裏表紙の写真そのままで、ひげもじゃのやさしそうな人だったと記憶にあるだけだ。その後の出来事が衝撃だったからかもしれない。

       講演会が終わって、お茶を飲んでいる寺村輝夫さんに、突然、母が、私の作文を見せたのだ。ミリ子シリーズの感想だった。当時、担任の先生が、作文教育にとても熱心で、毎週出される宿題で、私は、読書感想文や作文をたくさん書いていたのだ。

       母は、ちょっと自慢げに、私の作文を読んでくれる寺村輝夫さんを見ていた。

       これには、私はおどろいた。クールだと思っていた母親が、親ばかだったことを知った。

       寺村輝夫さんは、読み終わると、「よく書けてますね。ありがとう。」と、言った。母に似てクールな小学生だった私は、作家の立場では、子どもの作文を、その親から見せられたら、そう言うしかないよなぁと、どこかで思っていた。しかし、くすぐったいような、うれしい感情は、母親が、世間の母親と等しく親ばかだったことを知ったからなのか、作者に感想を読んでもらえた喜びなのか、よくわからないまま、私の胸に残っている。

       読み返すと、人権的配慮から現在では使われなくなった言葉があるものの、今読んでも新鮮だ。ミリ子が、ストレートに自分の気持ちを表明することで、共感を巻き起こし、おせっかいだと避けられ、衝突し、仲直りして進んでいく。クラスの日常と事件。傷ついても、失敗しても、けして、人のせいにせず、徒党も組まず、立ち止まらない。それでいてクラスメイトの心をひとつにしていくミリ子の姿が爽快な物語だ。ミリ子は、自分の行動を全部自分で引き受けているのだ。

       扉に、寺村輝夫さんのサインがある。それを見るたびに、私は、今もクールな姿勢を崩さない母親が、実は、親ばかであることを思い出し、少し甘酸っぱい気分になる。

              彦根児童図書研究グループ 会報 201110

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